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書籍情報

BOOK INFORMATION

進化思考

生き残るコンセプトをつくる
「変異と適応」

2025大阪・関西万博、横浜DeNAベイスターズ、東京防災、クックパッド… 各分野で絶大に支持される「生物の進化に学ぶ創造性」、待望の書籍化!

A5変形判 上製、本体価格:3000円+税、2021年4月21日発売

ISBN:978-4-909934-00-0

進化思考―それは、生物の進化のように二つのプロセス(変異と適応)を繰り返すことで、本来だれの中にもある創造性を発揮する思考法。

私たちは道具の発明を通して、擬似的な「進化」を達成してきた。そこには必ず、私たちの本質的な願いが込められている。小さいものを見たいから目を進化させるために顕微鏡を。寒さをしのぎたいから皮膚を進化させるために服を。速く移動したいから足を進化させるために乗り物を。子孫に残したいから記憶力を進化させるために本を…。40億年にわたり変異と適応を繰り返してきた生物や自然を学ぶことで、創造性の本質を見出し、体系化したのが『進化思考』である。

変異(HOW):偶発性を起点にした発想手法
適応(WHY):自然選択を起点にしたリサーチ手法

変異によって偶発的に無数のアイデアが生まれ、それらのアイデアが適応によって自律的に自然選択されていく。変異と適応を何度も往復することで、変化や淘汰に生き残るコンセプトが産まれる。その結果、本質的な願いを具現化するイノベーションを起こせるようになる。

この本は、「あなたが進化思考を実践しながら身につけられる」ことを目指している。そのため50個の進化ワークが登場する。「変異」の章では、たくさんのアイデアを出し、「適応」の章では、たくさんの情報や繋がりを理解し、「コンセプト」の章では、それらが美しく結合した時代を生き残るコンセプトに出会うことができるだろう。

著者プロフィール

AUTHOR PROFILE
  • 太刀川 英輔

    NOSIGNER代表。デザインストラテジスト。慶應義塾大学特別招聘准教授。デザインで美しい未来をつくること(デザインの社会実装)発想の仕組みを解明し変革者を増やすこと(デザインの知の構造化)この2つの目標を実現するため、社会的視点でのデザイン活動を続け、次世代エネルギー・地域活性・世代継承・伝統産業・科学コミュニケーションなど、SDGsに代表される社会課題に関わる多くのデザインプロジェクトを企業や行政との共創によって実現。プロダクトデザイン・グラフィックデザイン・建築・空間デザイン・発明の領域を越境するデザイナーとして、グッドデザイン賞金賞(日本)やアジアデザイン賞大賞(香港)など100以上の国際賞を受賞。デザインや発明の仕組みを生物の進化から学ぶ「進化思考」を提唱し、変革者を育成するデザイン教育者として社会を進化させる活動を続けている。

レビュー

REVIEWS
  • 濱口 秀司

    ビジネス
    デザイナー

  • 進化パターンの百科事典。
    結合の要素が分かれば、誰もが創造できる。
    この本は、流し読みにはもったいない。

  • 柳澤 大輔

    面白法人
    カヤック代表

  • ここまでイノベーションを
    体系化した本はなかった。
    こりゃ執筆に3年かかるな、脱帽。

  • 太田 直樹

    株式会社New Stories代表

  • 希望となるメッセージが、
    種火のように読者の心に宿る。

  • 大原 徹也

    米国在住
    発明家

  • 人間中心ではない「進化思考」を
    全ての人類に。

  • 黒崎 輝男

    IDEE 創始者

  • 進化思考はこれから人類の未来を
    左右することになる予感がする。

動画

MOVIES
  • 【対談】太刀川英輔さん、進化思考って何ですか?
    山崎亮(株式会社studio-L代表)

  • 進化思考とは
    Evolutional Creativity Introduction

  • 『ないものはない』島から世界の創造性を高めるには
    カンバセーションズ公開インタビュー

  • 「進化思考」から現代の創造性を考える
    遅いインターネット会議

  • 「進化思考」- 生物の進化から学ぶ、激動の時代を切り拓く創造的発想法
    グロービス経営大学院15周年記念セミナー

  • 第30回山本七平賞・贈呈式
    (太刀川英輔著『進化思考』)

一部公開

READING

はじめに

 ダ・ヴィンチが描いた人体図あるいは若冲が描いたニワトリの絵をじっとみつめてみる。チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を耳を澄まして聴く。アントニオ・ガウディのサグラダ・ファミリアの空間に圧倒される。
 理解できない。なぜ、これほどまでの作品を創造することができたのか。とうてい人間業とは思えない。そこで、私は思い知る。ああ、この人たちは天才なんだと。私など彼らの足下にもおよばない平凡な人間にすぎないのだと。
 あるいは、飛行機を完成させたライト兄弟、ガソリン自動車を初めて販売したカール・ベンツ、印刷機を発明したグーテンベルク、コンピューターを開発したフォン・ノイマン。こうした歴史を変えた発明家たち。彼らも創造の天才だったから、それを生み出すことができたのだ。自分とは違うのだ、と思い知らされる。

 だが創造とは本当に、そういう事なのだろうか。
 創造的なモノは、天才にしか生み出せないのか。
 肝心のあなた自身も、そう思っているだろうか。

 実はどんな人でも、創造性を発揮する驚くべき力を秘めている。私はそう確信している。だがよく考えてみると、創造性の構造とか、創造性を育む適切な練習方法について、私たちは何も知らないのだ。椅子の設計や料理の作り方のように、ものづくりの方法なら教えてもらったことはあっても、こと「創造性」の体系について教わったことは一度もない。
 ではもし創造性に確固たる構造があって、それを体系的に身に付けられるとしたらどうだろう。そうなれば創造は、誰もが挑戦できる科目になる。
 では創造とは何なのか。それはとても不思議な現象だ。他の生物が無数にいるなかで、人間だけが圧倒的な創造性を発揮しているように見えるのはなぜだろう。私たちも自然の一部だから、創造もまた自然現象には違いない。それに似た自然現象は存在しないのか。
 そう考えていたら、ふと思いついた。自然界には、創造によく似た現象がひとつだけ存在する。生物の進化だ。自然界で、機能する多様な形態を生み出しているのは進化をおいて他にない。この観点から、創造の不思議を解き明かせないだろうか。
 こうして私は進化に取り憑かれてしまった。創造の構造と生物の進化について、気づけば二〇年ちかくも考えつづけ、それがついに「進化思考」という考えにまとまった。
 本書には、進化思考の体系と、そこに至る私の探求、そして練習方法がまとめられている。進化思考の願いは、創造をめぐる知の構造を解き明かし、多くの人が創造性を発揮することだ。この本が、あなたにとって、そしてこれから文明が直面するさまざまな課題を、みずからの力で創造的に解決する人にとっての羅針盤になればと願っている。

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